みちくさの技法

大人として身につけるべき「みちくさ」「かいぐい」「うたたね」のうちの「みちくさ」について、私の小さな事例をご紹介して参ります。

風景印のおはなし

風景印に関する本がたくさん出版されています。きっちりとしたデータ型から、軽妙なエッセイまで。


松田青子著「東京 しるしのある風景」という本を読んでみましたら、実に軽やかに爽やかに収集されている等身大の女性の姿が浮かんできて、なんか嬉しくなってきてしまって。私にもこういう仕事ないかしら(笑)とか思ったんですが、オファーなぞあるわけもないので、勝手に書こう、とブログの「投稿」ボタンをクリックしたのでした。

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風景印は、いわずもがな消印です。すべての郵便局にあるわけではありません。
2016年発行の本によれば、11,147種類。郵便局は全部でおよそ24,000局ありますので、体感的に半分ぐらいの局にあると言えます。
……もう少し掘ってみましょう。概ね簡易郵便局には無い傾向にありますが、ごく一部の局には存在しています。全国的に見ても10局程度かな。
では、対象を直営局と絞った上で、都道府県別の設置率をざっくりと計算してみましたら、福井県が91.3%でトップ。大阪府が19.7%でワーストでした。何も調べずに、だいたいあるべーという感覚で大阪府の郵便局を巡ると、5局に1局ぐらいのペースなので、肩透かしを結構食いそうです。
とはいえ、50%以上の道府県が30ありますので、おおよそは半分でもいいのかしら。
単純に数で言えば、北海道が876で一番多くて、佐賀県の39が一番少ないです。風景印図鑑などを見ていても、佐賀県見開きだけで終わっていますからね……。

 

さて。そんな風景印、私が収集を本格的に始めたのは、だいたい平成12年頃のことです。それまでにも熱心に旅行貯金をしている郵趣家の友人につきあって全国の郵便局をめぐっていたのに、私はただ何もせず、なんか楽しそうだけど、難しそうだなあ、なんて思って敬遠していたのです。
友人のメインは旅行貯金でしたが、時々ハガキを取り出しては何やら絵のついた消印を押してもらっていました。なんだそれ。そんなのがあるの?
と、思ったし、詳しくたずねた気もするんですが……、本格収集には至りませんでした。当時の私は、何を考えて、どこを見ていたんだろう……。
それがある日、スイッチが入ったように、調べ始めて、あ、なんだハガキ差し出せば押してもらえるものなんだ、と理解し、身近な局からスタートさせたのでした(ああ、友人とめぐっている頃からちゃんと集めていたらという自己批判はもう一万回ぐらいしたので、ここでは繰り返しません)。

 

私はめんどくさいことが苦手ですので、一番シンプルな方法を選びました。普通のハガキを買って、それに押してもらう。それだけです。名刺サイズの紙に切手を貼って集めたら、場所取らなくていいよってのはずいぶん後から知った話です。まーハガキでも専用の収納アルバムやリフィルもあるし、いいかなーと。ストックや交換も簡単そうですし。

 

そして私は、数を数えるのが苦手なので、今までにどのくらいの枚数を集めた、などは覚えていません。ハガキファイルにストックしてバインダーに綴じたものが10冊ぐらいあるのはわかっています。3,000種類は超えてると思うけど、今から数えるのめんどくさいじゃないですか……。


未収の管理は、本と電子データでやっています。鳴美版の風景印本を買って、持っている印の脇に、「済」という事務用はんこを押しています。
ずいぶん前に未収データを抽出したものも傍らにあるんですが、どこまでが最新情報かはよくわかりませんし、図柄が変わったものはこれでは把握できません。
どちらにせよ、もう少し集まってきて、7割ぐらい超えたら詳細の管理し始めても遅くないんじゃないかな、と楽観的です。そんな日は来るんでしょうか。